前の記事でも書きましたが、一言に「スラックス」と言ってもその定義は曖昧です。
特定の素材や生地を使っていればスラックスと呼ぶという訳でもない。
とても簡単に言うなら「スーツのズボン」のようなアイテムだと書きました。
ジーンズやチノパンと並んでメンズファッションにおいて欠かせないアイテムとなったスラックス。
今回は「普段着として穿けるカジュアルな雰囲気のスラックス」において、使う素材が違うと全体としての雰囲気がどう変わるのか、というお話です。
ぼくは黒色のスラックスを5本持っているのですが、それぞれが全て違う素材で作られたモノたち。
素材が違えば雰囲気がどう変わるのか、1本ずつの特徴をご紹介していきます。
どれも黒いスラックスなので、写真を撮るのが難しく全体の雰囲気を伝えることは難しいかもしれません。
今回は「使っている素材」にこだわって記事を書いているので、1本ずつのシルエットは異なりますが、特別触れてはいきません。
1本目: スーツにも採用されるウール素材の王道スラックス
まずは王道、ウール素材のスラックスから。
同じウールでも糸の太さや織るときにおける密度の高さによって春夏向きのものや秋冬向きのものが存在します。
ぼくが持っているのは、高い密度で織られた、完全に秋冬向きのもの。
マットな質感で適度にハリがあり、そのカッチリした雰囲気はまさにスーツ向き。
カジュアルに着るとしても、わりとドレスライクな雰囲気のコーディネートに仕上げると魅力を生かせるアイテムです。
開襟シャツ: iroquois
スラックス: iroquois
スリッポン: iroquois
ぼくが持っているこちらのウールスラックスはシルエットも細身なので、まさに皆さんが「スーツのズボン」と聞いて思い浮かべるようなあの雰囲気。
ウール素材のスラックスは、流行りのワイドシルエットに合わせて裾幅を広げても、その上品な雰囲気は保たれたまま。
ブランドで言うなら、日本発で世界的に人気ブランドとなった「ヨウジヤマモト」が得意とするあの感じ。
下品な雰囲気は感じさせないのが、ウール素材のスラックスです。
2本目: カジュアルなツヤ感が特徴のレーヨンスラックス
この写真だけ見ると「1本目と何が違うんだ」って感じですよね。
記事のいちばん最初に載せた写真で左から2番目に並んでいる、ひときわ異彩のツヤを放つスラックスがこの1本。
軽く見積もって20〜30年前の古着ということもありますが、レーヨン100%のスラックスはそのツヤが特徴的。
スラックス: PERRY ELLIS
シャツも身幅の広いゆったりとしたシルエットのものを着ているのですが、そことの相性もばっちり。
「落ち感」なんて言葉で表現されますが、レーヨンはある程度の重みを持っていながら、重力に逆らわず地面へテロっと落ちていく様が最大の特徴。
個人的には、真夏になれば白無地Tシャツと組み合わせて穿きたいのは、レーヨン素材のスラックスだったりします。
シンプルなコーディネートに、どこか小慣れた雰囲気を与えてくれる便利な素材の1本です。
3本目: 素材のいいとこ取りをした最良バランスのT/Rスラックス
前の記事でも書きましたが、数あるスラックスの中でも個人的に最も推しているのはT/R素材のもの。
T=テトロン (ポリエステル系素材)とR=レーヨンを混合した素材がT/Rというもの。
レーヨン単体だとツヤが出すぎて合わせる服を選んだり、シワになりやすいというデメリットがあります。
そこにポリエステルを加えることで、耐久性やシワになりにくさをアップ。
なかなかハイブリッドで革新的な組み合わせで、上品な印象の強いスラックスというアイテムでありながらも雑に穿けるところを気に入っています。
・スラックス: iroquois
遠目で見ると分かりづらいですが、ツヤ感はレーヨン100%のスラックスよりも控えめ。
上品さとカジュアルさのバランスが非常に良く取れているので、どんなコーディネートにも合わせやすい。
5本持っているスラックスの中で、ぼくは特にこの1本を気に入っています。
T/R素材のスラックスは、最初の1本を選ぶときにとてもおすすめ。
こちらに関しては別で記事も書いているので、是非読んでみてください。
4本目: 真夏でも快適に穿ける涼しいリネン素材スラックス
季節こそ限られますが、1本持っておくと真夏の暑い日でも快適に過ごせるのがリネン(麻)素材のスラックス。
通気性がいい素材のため、穿いていても足が蒸れにくい。
リネン素材のスラックスはとにかくシワになりやすいのがデメリット。
着用や洗濯をした後なんかは、そのままじゃ外へ穿いていくのが少し恥ずかしくなるほどのレベルです。
・スラックス: 古着
主に夏に活躍するアイテムなので、一度穿いたら当然、洗濯をしますよね。
その後はとにかくシワだらけになっているので、衣類スチーマーを使ってシワを綺麗に伸ばしてあげましょう。
ぼくが愛用している、おすすめの衣類スチーマーをご紹介している記事はこちら。
もちろんリネン素材の洋服以外にも使えるので、忙しい朝にシャツやジャケットのシワをサッと伸ばすのにもおすすめです。
5本目: 古着に多い軽さが魅力のポリエステル素材スラックス
最後は古着で流行りの、ウエストがゴムになっている「イージーパンツ仕様」としてよく見かけるポリエステル100%のスラックス。
ポリエステル100%のスラックスはとにかく軽く、洗濯しても乾きやすいことが最大の魅力。
更に「イージーパンツ」の流行りによって、ベルトを必要とせずサッと穿けるという利便性も重なって非常に人気となっている古着アイテムのひとつです。
レーヨンのツヤを「テカテカ」と表現するならば、ポリエステルは「キラキラ」とでも例えてみます。
なかなかラフな雰囲気を持っているので、カジュアルな雰囲気を持った洋服との相性はバッチリ。
・スラックス: 古着
軽さが魅力のポリエステル素材スラックスですが、その雰囲気や乾きやすさとは裏腹に、暑い日に穿くと足が蒸れて地獄でした。
今時の機能性素材ならまた状況は違うのかもしれませんが、少なくとも古着のポリエステル素材に関しては通気性は悪め。
その割に見た目の雰囲気が夏向きだったりするので、単体で見たときの利便性は高くても意外と合わせる服を選ぶのかもしれません。
季節や希望の雰囲気に合わせてスラックスも素材選びを楽しむ
ということで、一言に「スラックス」と言ってもその雰囲気は使われている素材によって大きく変わることを見てきました。
それらは主に季節や「こんな雰囲気に仕上げたい」という考えに沿って選ぶのがベスト。
とは言え、素材の種類なんてものはぼくが持っている5種類以外にもたくさん存在します。
そこまで色々あると何を選んでいいのか分からないし、そもそも面倒に思えてきますよね。
ということでぼくが心底おすすめしたいのは「T/R素材」のスラックス。
記事内でも3本目としてご紹介しましたが、これがいちばん耐久性も高くシワになりづらく、適度なツヤとハリを持っている。
どんな洋服と合わせてもハマってくれるので、最も汎用性が高く便利な素材のスラックスだと確信しています。
そんなT/R素材のスラックスが持つ魅力を書いた記事もあるので、是非読んでみてください。
いわはし
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