眼鏡屋さんで働き始めてから1年が経った。
ブロガー、しばらくぼーっとして、アパレルで働かせてもらって、眼鏡屋さん。
この数年でいろんなことをやってきたなとか、なんかぼーっとしすぎたなとか思ってたら、あっという間に30代もすぐそこ。
人と喋るのが面倒とか苦手とか思ってる部分があったから、接客業なんか向いてないでしょって思ったけど。
アパレルの仕事が少しずつ減ってく中で (それも自分のせいなんだけど)、次に何しようって考えてたとき。
いつもお世話になってる、いろんな話を聞いてくれる年上の人たちにそんな話をしてみたら、なんでも好きなことすればいいじゃん。
って言葉をもらって、それでも好きなことが浮かんでこない自分って空っぽだなあとか思いながら「映画館のスタッフとか、眼鏡屋とか、いいんじゃないの」
そう言ってもらったときの、眼鏡屋かあ、なるほど。
と思ったのをきっかけに、さらっと通勤できそうな範囲内で、面白そうな眼鏡屋さんを探して面接を受けて、採用してもらって先月で1年。
何に対しても深い情熱を持ってない分、ポジティブに考えれば少しでも興味のあるものにはふらっとのめり込んでいけるのが長所なのかもしれないとかも思った。
働いてみると眼鏡には、視力を矯正するっていう人の生活にダイレクトに役立つというか、意味と意義のある側面があるところに惹かれた。
それゆえ測定したり、レンズや眼鏡学の知識が必要なこともあって、しっかり技術職なんだなと思った。
アパレルももちろん楽しいけど、個人的にはそういう技術を学んだり、より具体的な学術を身につけることには興味があるし面白いと思う。
僕が入社したタイミングで眼鏡業界にも国家資格ができたらしく、直近の目標としてはそれを取得してみたいっていう気持ちもあったりする。
そういう目的とか目標みたいなのを、今まであんまり持たずに生きてきた人生だった。
目標なんかなくていいってBUMP OF CHICKENが歌ってるから、中学生くらいの頃からそうやって生きてるような気がする。
けど、この前社長と話をしたときにワクワクした気持ちになったのは何でだろうと思ったら、未来の話をしたからだった。
興味を持ったものには手を伸ばして、コーヒーに興味を持ったらタイまで勉強しに行ってみたりとか、色んなことに自由な姿勢に惹かれた。
社員の意見を尊重して、結果が出るならやってみたら、なんてスタンスで仕事にも裁量をくれる(その分もちろん、やる側も責任を持ってやられているけども)にも惹かれた。
こんな社長のもとで、お店のマネージャーさんのもとで、もっと身を入れて働いてみたいと思った。
ゆくゆくは自分もやりたいことが浮かんできたときには、良い意味でもっと我を出してハングリーに挑戦をしてみたいと、マネージャーさんの背中を見て思う。
し、この会社ならそれができるようになるんじゃないかとワクワクしてる。
5年後、10年後の目標を持ちなさい、と言ってもらった。
社長と話してると、明るい未来が見えてワクワクした訳なんだろうけど、それは見せてもらったものであって、自分のそれも持たなきゃいけないと思った。
まあ持たなくてもいいのかもしれないけど、あのワクワクした気持ちで仕事をしていけるようになるのなら、きっと今より楽しい。
そういう意味ではきっと持った方がいいから、頭の片隅で思い出した頃になんだろうなとか思ってる。
日々の仕事は地味っちゃ地味というか、それは何でもそうなんだろうけど。
売り上げの大きく立つ日があれば、凪みたいな日だってある。
そういう毎日を経験しながら、最近よく思うのは、似合うってなんだろうってことだったりする。
眼鏡は視力を矯正する器具ではあるけど、やっぱりファッション的な意味合いも大きい。
度入りのレンズを必要としてるお客さんもいるけど、伊達眼鏡やサングラスを求めてる人も多くいる。
今までは視力を矯正する器具としての意味合いを第一に置いて眼鏡を掛けてたけど、お客さんと接する中で必然的に眼鏡のファッション的な面にもより深く触れるようになってきた。
似合うって一体何なんだろう。
自分に似合う眼鏡が分からなくて、とアドバイスを求めてくれるお客さんもいる。
今までの経験とか見てきたものとか、過去に接客してきた経験から、似合う眼鏡を提案する。
それがピタッとハマったときに、すごくテンションが上がったりする。
でもその、じゃあそれが似合う理由ってどこにあるんだろうとか少し思う。
お客さんに納得してもらえるような理由をある程度は言葉にして説明もできるけど、より深い部分は感覚になってる気もする。
その感覚は自分が今まで雑誌やSNSで見てきたコーディネート、街中で見てきた人の顔。
あの人にあれは似合ってるな、じゃあこのお客さんにも似合うはずだ、みたいなのを過去のデータの蓄積から引っ張り出して当てはめてるのかなとか思う。
それを提案すると、お客さんとしては見慣れてなく「似合ってるかわからない」としても、客観的に見せてもらうとすごく似合ってたりする。
それは自分もそうで、自分ではイマイチだと思ったものも、人から見れば似合ってたりするらしい。
主観的には似合う=見慣れてる、というところに落ち着いてるのかもなしれない。
だから自分で選ぶと冒険しないし、似たようなものばっかりを選んじゃう。
洋服にしても眼鏡にしても、自分で選ぶのもいいけど、人に選んでもらう、提案してもらうことで自分の幅を広げていくことを意識するように最近はしてる。
今までリサイクルショップでばっかり服を買ってきたけど、それは接客されるのが得意じゃなかったり、宝探し的な感覚がそもそも好きで楽しかったりしたからなんだけど。
それじゃあ似たようなものばっかり選んで自分の感覚も広がっていかないので、店員さんに接客してもらえるようなお店に行くのも面白いだろうなあとかも思い始めた。
それは自分が眼鏡屋さんの店員としても意識したいところだったりする。
あと、接客業をやってみて接客する側の気持ちも少しわかってきたので、そういうお店に行くのも前よりかは怖くなくなってたり。
接客する側としても、自分にとっては、これ少し図々しいかなとか思うことも、いざ勇気を出してやってみると相手にとっては意外とそうでもなかったりする経験もあった。
むしろその提案を受け入れて気に入ってもらえて、結果的に買ってもらえたりとか。変な話、人って思ってたより怖くないんだなとか思うようになってきたり。
にしても似合うの探求っていう点でいうと、女性は本当にすごいなあと思ったりする。
化粧品を買いたいから、ってことでついていったりすると、無数の化粧品の中から自分の肌に合いそうなものをひたすら探してる。
ブルベとかイエベとかなんとか、肌との相性とかなんとか、いろんな面からお化粧について考えてるらしい。
自分の目にはこれが合うとか、顔にはこれが合うとか、そういうのを日々探求してる姿を見てると、女性の似合うの探求ってのにはすごいものがあるなあと思う。
そういう姿を見てるのが面白いから、化粧品の買い物についていくのは面白かったりする。
僕の服装にもあれこれ言ってもらったりするけど、日頃からその解像度で探求してたら、見える世界も違うのかもなあとか思う。
なんか話がすごい逸れたりしながら書いてるけど、眼鏡屋さんの仕事を楽しくやってる。
色々と楽しいと思う要素はあるけど、そもそもブログを書くのが好きだったりとか、学生の頃から友達に好きなバンドのCDを貸しつけてたりとか。
そういう自分の要素を見てると、僕は自分が魅力を感じたものを人に紹介することが好きなのかもとか思った。
もっというと、面白いものやかっこいいものを見つけるための知識欲はわりとあるのかもしれない。
見つけたそれのどこが面白いのか、かっこいいのか。それを人に紹介すること、それの魅力を人に伝えること広めることが、資質として好きなのかもしれない。
本当はゼロから物作りをする人に憧れてたり、かっこいいなって思ったりするけど。自分でTシャツ作ってみたりとかもするけど、まあそれは別としても。
それ以上にキュレーションというか、そういう方向の方がまだ才能があるんじゃないかとか30手前にして思い始めたのがこの頃。
眼鏡を提案するにしても、定番的なものは自分の力じゃなくても売れるけど、癖のあるものでも自分が好きなら提案する回数も増える。
その提案に熱量と説得力が増すから、例えばモノだけ見えれば少し癖が強かったとしても、自分がそれを好きならその分だけお客さんにも気に入って買ってもらえることが多いようにも思う。
そうやって色んなものを提案できるようになるには、色んなものに興味を持つのがいい。
色んなものを好きになるのがいい。もっと色んな世界を見るのがいい。
マネージャーさんの接客を見てても、カルチャーやらなんやら、面白いもの全般へのアンテナの立て方が半端じゃない。
映画や音楽、ファッションは眼鏡と強く結びついてるからそこはもちろん。
今年の目標というかそんなようなものを、食に興味を持つ、にしたのも無意識にもその一環かもしれない。
鳥貴族の焼き鳥は美味いけど。
GUの服って最高だよなって言ってる人を見ると、もっと面白いものだってあるよと思う自分がいるように、食好きの人は僕に同じことを思ってるだろうと思うと、鳥貴族ばっかり行ってるのはもったいない。
形がかっこいいって理由で気に入ったサングラスも、その背景にある歴史やカルチャーを知ったならより多角的に、かつ深みを持って愛することができるはず。
その感覚こそが人生を面白くしてくれるはずだから、そのためならお金を使うことだって惜しまない方がいいと思う。
貯金ばっかりして自分の好きの範疇を出ない、それは自分じゃ気付かないこと、いわゆる井の中の蛙的なことなのかもしれないけど。
それで人生終わっちゃうのはもったいないから、より色んなことを楽しめる生き方をしたいからそうする。
みたいなことを考えるようになってきたのも、面白い人が周りにいっぱいいるからなんだろうなあとか思う。
またしてもいい職場で働いてるなあと思った。
いわはし
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