少し前までぼくは、「awaJdnS」とロゴの入ったTシャツを販売していました。
でも今はもう、あれを販売していません。
実は、本家ブランド様に怒られてしまったんです。
具体的にどんな内容だったかは書きませんが、「今後もTシャツの販売を続けるなら、訴える準備はできています」的なものだったと思います。
ボックスロゴのパロディー商品は色々とある中で、ぼくが作っていたあれはアウトの領域だったのか。
それとも、本家が厳しく取り締まるようになったのかは分かりません。
どちらにしても、アイデアが本家から生まれたことに間違いはないので、お叱りを受けたなら、申し訳ないことをしてしまったな、と思っています。
そんなこんなで、まだまだ在庫が8着も残っていた、あのTシャツ。
作るのにお金も掛かったし、このまま捨てちゃうのはもったいないな、なんてずっと考えていました。
何かいい方法はないのかな、とも。
気付けばブログを2週間近く放置していました。
その間に何をしていたかの記憶はほとんどありません。
ただ、ふと、買ってから読んでいなかった岡本太郎の本を読んで、格好いいなと思って、3日くらい前まで大阪や京都、奈良に行ってきました。
旅の目的は、岡本太郎が残した最大の芸術作品、太陽の塔を見に行くこと。
外観はもちろん、内部見学の予約もしっかり取って、その芸術をばっちりとこの目に焼き付けてきました。
本を読んでいるときから、頭の隅にちょこんとあったアイデアは、旅行が終わる頃には「やりたい」に変わっていました。
怒られちゃったTシャツは、もう自分の手で思いっきりペイントしてやることにしたんです。
「二面性」
シルクスクリーンのラバープリントを、これでもかと言う程に濃度の高い真っ赤な絵具で、これでもかと言う程に塗り潰す。
言葉にするなんて整ったことは到底できない、自分の中にある感情や、対象も分からない何かに対する怒りや憤りをぶつける。
時には無になったり、小さい子供の頃のように純粋な気持ちでペイントを楽しんだりもしながら。
ただ、自分が「綺麗だな」「格好いいな」「素敵だな」と思えるものを、作り上げました。
絵具を乗せた筆を走らせたり、ディスペンサーに入れた漂白剤を思いっきりぶちまけて、ブリーチしたり。
後先考えずに作ったそれの前面は、ぼくにとっては何だか爽やかなイメージ。
一方で後ろは、描きながら「ぼくはやっぱり赤が好きだ」と再認識しました。
ここでは最後に使った赤色。
人によってはなくてもいいのかもしれないけれど、ぼくにとってはやっぱり、この色がないと気持ちも、Tシャツも作品としてどこか引き締まらない印象で。
前面と後面の、爽やかさと激しさのギャップから「二面性」と名付けました。
人前に出れば、人を笑顔にするために道化をする。
裏では、現実と理想のギャップに苦悩をしているピエロのような。
素顔の自分に化粧で蓋をし、おどけて見せる。覚悟を決める。
ただ思うがままにペイントとブリーチを施した作品が出来上がってから、最後に付けた名前です。
プリントを真っ赤な絵具で塗り潰した上に書いたのは何かしらの文字ですが、ぼくにも読めません。
せっかく自由なままに描いたものなので、あまり多くを語る必要も、それっぽく深読みできそうな意味を無駄に付け加える気もありません。
岡本太郎は「芸術は無目的なものだ」と言いました。
レオナルド・ダ・ヴィンチは「絵に勝るものはない。せいぜい音楽くらいだろう」と言いました。
大人になった今、子供のように何の制約もない自由な気持ちで絵を描いてみました。
今まで色々なものに意味を求めてきたぼくにも、偉人たちがそう言ったことの真意が少し、分かりました。
着るもよし、飾るもよし。
世界に1枚だけのTシャツは、ぼくが運営しているネットショップで売っています。
いわはし
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