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着用歴2年10ヶ月。いよいよ逞しくなってきた相棒デニムの色落ち

洋服とは普通、着れば着るほど、穿けば穿くほど価値が落ちていくもの。

見た目もみすぼらしくなっていき、毛玉ができたりして、ボロボロになって「汚い」という印象になっていくもの。

そういった現象を、ぼくは「経年劣化」と呼ぶのだと思っています。

 

一方で、着れば着るほど、穿けば穿くほど価値が上がっていく洋服も存在します。

市場価値という意味で言えば、販売価格で例えるなら、下がっていくのかもしれません。

 

それでも愛用している本人にとっての価値は、月日が経てば経つほど上がっていく洋服。

そんな現象をぼくは「経年変化」と呼ぶのだと思っています。

 

洋服が売れない時代。

安くおしゃれな洋服をすぐに手に入れることができる時代。

 

ぼくはもう着飾ることや、おしゃれをすることにはそこまで興味がありません。

それどころか、生産されてはすぐに消費されていく洋服に、その多さに少しうんざりもしています。

 

こんな時代に、着続けていたいと思うのは「経年劣化」をする洋服じゃない。

短期間で手放すような洋服じゃない。

 

こんな時代に着続けていたいと思うのは「経年変化」を楽しませてくれる洋服です。

ひとつの洋服に愛情を込めて着続ける。

愛着を持って育てあげる。

 

モノで溢れた今の時代だからこそ、自分にとってのナンバーワンをはっきりさせて、大切に愛し抜く。

そんな洋服の着方を楽しむのも、素敵だと思っています。

 

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着用歴2年10ヶ月、洗濯回数は十数回。マイ相棒ジーンズ「PETIT STANDARD」

穿き始めた頃は、糊がびっしり付いたいわゆる”リジッド”状態。

色も濃い紺色で、フランス生まれ (A.P.C.はフランスのブランド)の上品な雰囲気をしたジーンズでした。

 

週に3回ほど穿く生活をかれこれ2年10ヶ月。

洗濯は真夏以外であれば3ヶ月に1回ほど。

 

座ったときのシワ、膝を曲げたときのシワ。

洗濯を繰り返すうちに、いつしかここまで色が落ちてきました。

 

水色を通り越して白へ近付いた色落ちが魅せる綺麗なコントラスト

フロント、いちばん目立つ場所。

人間で例えるなら顔とも言える部分、中でも太ももの付け根付近には”ヒゲ”と呼ばれるシワが刻まれています。

 

右太もも付け根付近のヒゲに寄ってみると、購入当時は濃紺色だったとは思えないほど色が落ちて、デニム生地のキャンバスに白い線を描いています。

デニムを染めているのはインディゴ染料。

それが着用を続けるにつれて、洗うにつれて落ちていく。

 

このコントラストが本当に美しい。

穿く人それぞれのライフスタイルに沿って色を落としていき、世界に1本だけのデニムジーンズへと育っていきます。

 

あえて洗濯回数を少なめにしたことでインディゴ染料が落ちすぎることもなく、染料の残っている部分と落ちていった部分の違いがハッキリとするように。

これが魅せてくれる、購入当初の上品な雰囲気にはなかった無骨さが本当に格好良くて、非常に気に入っています。

あまり上品すぎるのも嫌なので、少しばかり男らしく逞しく、これからも育っていって欲しい。

 

ジーンズの膝裏、通称”ハチノス”はバチバチにシワを刻む

ヒゲと並んで、デニムの色落ちにおいて魅力的なのが膝裏、通称”ハチノス”と呼ばれるシワの集まり。

立ったり座ったり、自転車を漕いだりすれば曲がる膝。

ヴィンテージのデニム好きであれば、ハチノスにはバチバチに刻まれたシワを求めるかもしれません。

 

ぼくとしては、ある程度は刻んでおきたいけれど、派手すぎるそれは望まない。

だからと言って「極力膝を曲げないように生活しよう」なんて面倒なことはしていません。

ごく普通に生活して、ごく普通に育て上げた結果、こうなっていきました。

 

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着用歴も3年近く。中堅の域に達し始めたPETIT STANDARD

派手にシワが刻まれる部位以外では、太もも付近の色落ちがとても綺麗。

縦方向にインディゴ染料が落ちていることから「縦落ち」なんて呼んだりしますが、着用歴2年を過ぎた辺りからは、ここの変化を確かめるのがいちばんの楽しみです。

 

少し引きの、着用画像でも太もも付近の色落ち、コントラストがお分り頂けますでしょうか。

対照的にスネ付近はまだまだ濃い紺色なので、この辺りが色を落としてくるとどうなるのかは、まだまだ先に残された楽しみです。

 

関節がある訳でもなく擦れる訳でもない場所なので最も色落ちはしにくい訳ですが、それにしても綺麗。

もう少し色が落ちて、無骨な雰囲気になってくれてもいいのにな、なんて常に思っています。

 

後ろから撮ってみるとこんな感じ。

実はここ最近、洋服を紹介する際の着用画像では足元を写していないのですが、それはモフモフしたルームシューズを履いているからなのでした。

 

それを写さない分、何だか分りづらい着用画像にはなっていますが、こう見てもお尻付近の色落ちもなかなか綺麗で、いよいよぼくの相棒も年を重ねてきたな、と感じます。

 

着用歴2年10ヶ月。

まだまだ色落ちが楽しみなぼくの相棒デニム、PETIT STANDARD。

 

ジーンズの色落ちを楽しみ、育てていく過程って本当に楽しいんですよね。

我が子を育てているかのような感覚と愛着。

・・・子供もいないくせに何を言っているんだ、って感じですが。

 

安い洋服を短期間で買い換えるよりも、少し高くてもいい服を買って、長く愛し抜く。

そんなファッションの楽しみ方を、ぜひ多くの人に味わって欲しいと思っています。

それを分りやすく教えてくれるのが、楽しませてくれるのがデニムの色落ち。

 

A.P.C.のPETIT STANDARDは、初めてデニムを育てる人にはもってこいの1本。

この楽しみをぜひ、感じてみてください。

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いわはし

もうすぐ30歳になるので、うかうかしていられません。