ぼくは今年の3月に、A.P.C.のプチスタンダードを買いました。
人生初のリジッドデニム。それは持ち主の動きに合わせてシワを刻み、共に歳を重ねる第二の皮膚。
もう、言ってしまえば”服好きのロマン”なんですよ。
ぼくは洋服を好きになり始めた頃、ジーンズのゴワゴワした履き心地が嫌いで敬遠していました。
それでも徐々に洋服の知識を深めていくと、ジーンズの歴史に触れないなんてことはまず不可能なんですね。
気付けばその魅力に取りつかれ、リジッドデニムを自ら育てるまでになる始末です。
今でも忘れはしない、ぼくにジーンズ・・・特にA.P.C.のプチスタンダードに興味を持つきっかけを与えてくれた記事。
この記事を読んでいた高校3年生のぼくは、4年越しにジーンズを育てる楽しみを味わっています。
そして迎えたファーストウォッシュ。リジッドデニムがリジッドデニムでなくなる日。
ぼくが3月から穿いて育てたプチスタンダードは、どんな姿になったのでしょうか。
初の洗濯前、まだ糊がついているプチスタンダード
洗濯して糊を落とした姿を披露するその前に・・・ぼくが3月から1度も洗わずに穿いてきたプチスタンダードがこちら。
とはいえ洗わない道を貫いたまま夏を越えるのは少し不潔です。
なので実質穿いていたのは3~6月と、10月~12月。夏の間は冬眠ならぬ夏眠をさせてあげました。
実労時間およそ半年のプチスタンダード。糊がついたままなので、いくらかパリッとした印象は残っています。
ヒゲ部分を接写。購入当初と同じ上品さを保っておきながら、いくつか穿きジワが刻まれていますね。
ジーンズに限った話ではありませんが、半年も穿いているとヒザが出てきますね。
何度も立ったりしゃがんだりといった動作を繰り返す内にこうなるのはとっても自然なこと。
購入時、店員さんの「お客さんは脚が長いので、裾上げは不要ですよね」という言葉を鵜呑みにしたぼく。
本当に裾上げはせず、常にロールアップを2回してコイツを穿いていました。
ジーンズはリジッドの状態でロールアップすると、生地にダメージが及ぶ可能性が大いにあります。
ぼくはそれを危惧し、帰宅してジーンズを脱いでからはロールアップを常に直してきました。
・・・が、途中から「そもそもジーンズって作業着だし、頑丈なものなんだよな」
と扱いを雑にしていたツケでしょうか。ロールアップしていた部分に小さなダメージが及んでいます。
でもいいんですよ。だって、こんなのたかがジーパンや!(ジーンズの神様が運営するブログ名より)
大切にし過ぎて穿けないんじゃ本末転倒なので、ぼくは良い意味でプチスタンダードを雑に扱ってきました。
雑に穿いても楽しめるのがジーンズの醍醐味。この半年はこれでもか!ってほどに鬼労働をさせてきたんです。
後ろから。ハチノス(ヒザ裏のシワ)が目立ちますね。それと同じくらい、ロールアップによる線も。
ヒゲと並んで色落ちを楽しめる場所、ハチノスはこんな感じです。
連日穿いていたのでシワもありますが、よく見ると既に薄く色落ちしているのが見てとれます。
これが洗濯したらどれくらい現れてくるのかな?
全部位の中で、最も顕著に色落ちが表れていたのはベルトループ。
トップスと擦れるせいか、既に白っぽくなっていますね。
色落ちを楽しむために重要な、ジーンズの洗濯&乾燥方法
リジッド(糊がついた)のジーンズを初めて洗う。それはつまり今までジーンズについていた糊が落ちることを意味します。
ヒゲやハチノスの色落ちを楽しみたいなら、リジッドでの半年間鬼穿きが基本。
なぜなら生地に糊がついた硬い状態の方が、持ち主の動きによるシワをより深く刻んでくれるからです。
これから何度かジーンズを洗濯することはあっても、糊を落とすのは1回目の洗濯が最初で最後。
それゆえ最初の洗濯をするときは特に色落ちに影響するので、洗濯から乾燥の方法まで気を遣う必要があります。
今回ぼくはジーンズを裏返し、ざっくり畳んで洗濯ネットに放り込みました。
ここで裏返さず、ネットに入れずに洗濯すると1回目の洗濯にも関わらず色落ちがかなり進みます。
それの何が怖いかというと、着用期間が短くシワも浅いのに、染料ばかりが落ちてメリハリのない色落ちに仕上がること。
せっかく半年間リジッドで穿き込んだのに、のっぺりした退屈な1本になってしまうんですよね。
ジーンズに洗剤が直接かからないよう、少し水を張った洗濯機の中に洗剤を溶かし、その後で主役を投入。
ちなみにこのとき、できれば洗剤もジーンズ専用のものを使うのがベストです。
基本的に丈夫な衣料なので気を遣う必要はありません。
・・・が、色落ちを真剣に楽しみたい方は使ってみると、長い目で見たときに違いが表れますよ。
ちなみにぼくが今回使った洗剤は、ごく普通の液体洗剤でした。
本当はジーンズ専用のジーンズを使ってこだわりたかったのですが、いかんせん買い忘れていたもので・・・。
でも、いいんですよ。だって、こんなのたかがジーンズや!(2回目)
あんまり気を遣いすぎても退屈なので、ジーンズの色落ちはもっと適当かつ自己中心的に楽しめばいいんですよ。
ただ、洗剤選びでひとつ注意すべきなのは、絶対に蛍光剤入りのものを使わないこと。
蛍光剤はジーンズを染めているインディゴ染料との相性が悪いんです。
ゆえにこれが入った洗剤を使ってしまうとジーンズに青白さが出て悲惨な仕上がりになってしまいます。
洗濯が終わったらネットから取り出し、ボトムハンガーを使ってジーンズを逆さに干します。
裾部分をハンガーに挟んで、ウエスト部分が下になるよう干す方法ですね。
ジーンズの干し方もいくつかありますが、ぼくの場合はこれを使います。
理由は簡単で、こうすることで伸びていたヒザ部分の生地が、ジーンズの重さのお陰もあって元通りになるから。
この日はたまたま天気が雨だったので、やむを得ず部屋干しを行いました。
本当は直射日光を避けながら(インディゴ染料に悪影響なので)外干しするのがベストなんですけどね。
そうして雨が止んだ隙を見ながら外干しも続けること2日間。
ようやく完全に乾いたプチスタンダードがこちらです。・・・あれ、なんだか全体的に細くなったような?
初の洗濯を終え、ワンウォッシュとなったプチスタンダード
そうして洗濯と乾燥を終え、いよいよリジッドではなく、ワンウォッシュとなったプチスタンダードがこちら。
糊のパリッとした雰囲気が落ちるのに伴って華美な上品さは消え、どこからともなく男臭さが漂うように。
ハイブランドのトップスがよく似合いそうだったプチスタンダードは、糊を落とすとカジュアルさが増すのでした。
ヒゲ部分を接写してみました。
やはり糊によるツヤは消え、青臭さが溢れ出るようになっています。これはこれでカッコイイぞ・・・。
洗濯前に残っていたのは穿きジワだったのか、まだそこまで目立った色落ちはありませんね。
特に色落ちの見られた股部分を超接写。
これは恐らく、内側にある”もちだし”というパーツのアタリでしょう。
以前ワンウォッシュのジーンズを育てたときも気になったアタリが今回も・・・。
今後悪化しないよう、洗濯後にもちだしの尖った部分をハサミで切っておきました。
洗濯前は伸びすぎて出っ張っていたヒザも、洗濯による生地の縮み&干し方のお陰で綺麗に収まりました。
ここにも部分的に色落ちが見られますね。
後ろ姿も洗濯前と比較してみましょう。
やっぱり個人的に、これくらいカジュアルさを持ち合わせている方が手持ちの服とは合わせやすい気がします。
以前から目立っていたベルトフープの色落ちは、洗濯することでよりクッキリと出てきましたね。
気になるハチノスは、1回目の洗濯にしてはまずまずといった具合でしょうか。
もう少しシワを刻んでもよかった気もしますが、リジッドの状態で洗わないのは半年が限界でしょうか。
それ以上やると生地の痛みが恐ろしいですね。
ワンウォッシュになったプチスタンダードを穿いてみた
最後に、糊を落としてワンウォッシュとなったプチスタンダードに足を通しました。
今までは硬くて穿きづらかったプチスタンダードの生地が、以前よりも穿きやすい柔らかさになっている。
ぼくは柔軟剤入りの洗剤を使って洗濯しましたが、ジーンズ用のそれを使えばまた違った印象だったはず。
「ジーンズは洗いざらしのゴワゴワした感覚が好き!」という方は柔軟剤の入っていない洗剤を使いましょう。
ただ、プチスタンダードは柔軟剤入りの洗剤を使ってもなかなかゴワゴワしています。
この辺りは14オンスという比較的ヘビーな作りが関係してくるのかな。
そしてこのときに改めて「ああ・・・本当に糊を落としたんだな」と実感しました。
けれど今までとはまた違うこの感覚にも、また違った魅力があって素敵。
リジッドデニムは最初の洗濯で糊が落ちるのと同時に、生地がいくらか縮みます。
ウエストは明らかに縮んで、洗濯前よりもきつくなった印象。
それと同時に裾上げせず少し長かった裾は、2回のロールアップで丁度いい長さに収まってくれました。
ヒザの伸びも以前よりは目立たなくなりましたね。
リジッドデニムは最初の洗濯で縮みますが、ぼくはそれを加味してもサイズは上げず、ジャストで購入していました。
なぜならジーンズは穿いていれば自然と生地が伸びてウエストに余裕が出てくるから。
洗ってそれが縮んでも、伸びた分が購入時のサイズに戻るだけなんです。
体感ですがウエストに購入時と選択後で大きな変化はなし。
その代わり裾は3cm前後縮んだ印象を受けました。
引用:http://wear.jp/kfct/8603375/
洗濯前の状態と比べても、裾が縮むと全体的に引き締まった印象を与えてくれますね。
リジッドの頃はそこだけ気になっていましたが、見事ジャストサイズに収まってくれて安心です。
”第二の皮膚”とファッションライフを楽しもう
(左は古着の560。長い月日を経てインディゴ染料がほとんど落ちています。)
服好きなら誰もがお気に入りのジーンズを持っているでしょう。
理想の色落ちを再現するため、日々穿き続けるそれはまさに第二の皮膚。
持ち主と共に歳を重ね、シワを増やしていくそれはまさに服好きのロマン。
そんな楽しみを持っていながら、どんな洋服とも合わせやすいからここまで人気が広まったのでしょうね。
わりと物持ちがいいぼくですが、このプチスタンダードはどこまで穿いてあげることができるかな。
リペアをしたらそれはそれでまたアジが出る。
ジーンズって燃えてなくならない限り、どこまでいってもカッコいいアイテムなんだと思います。
初の洗濯を終えて、さらにぼく好みの雰囲気に仕上がったプチスタンダード。
これからもコイツと一緒に、いつまでもファッションを楽しんでいきたいですね。
いわはし
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