「せどり」という言葉を、皆さんも一度は聞いたことがあると思います。
個人が中古の本や洋服を安く売っている場所から仕入れ、需要のある場所に高く売る商売のことですね。
言い方を変えれば転売です。
参入障壁が低く誰でも簡単に始められるので、今やこれを生業にしている人も。
先に言っておくと、ぼくはこのせどりをする人が嫌いなんですよ。
別に楽してお金を稼いでるから・・・なんて古臭いことを言うつもりはありません。
が、特にネット上で仕入れた洋服を別のサイトで転売している、俗にいう転売ヤー(転売+バイヤーの造語)が大嫌い。
だって、部外者のぼくが見ても明らかに転売だと分かるレベルの低さでそれを堂々とやっているんですよ。
ブランド古着を安く売っているサイトで、その服が販売開始になればすぐに購入し、別のサイトに2~3倍の値段で転売している。
その服を欲しいぼくがここにいるのに、それを手に入れることができないなんて。
個人が洋服のせどりで利益を出すのは難しい
・・・まあ、せどりをする人が嫌いというのも、ぼくの好きなブランドがそのターゲットになっているからなんですけどね。
バイヤーの経験があるからわかるのですが、ぼくの好きなブランドの服を転売したところで利益はほぼ出ません。
むしろ売れずじまいで値下げを続け、最終的には仕入れた値段で売りさばかれる場合がほとんどなんですよ。
メルカリなどに出品している転売ヤーは手数料が10%引かれるので、トータルで見れば赤字なんじゃないかな?
もしくは他に手を出したブランドの服が売れた収益と合わせてプラマイゼロか。
それなら最初からぼくがブランド古着の通販サイトで買いたかったので、転売ヤーにはもう少し上手くやって欲しいものですね。
洋服のせどりは多くのブランドとその中古相場に詳しい、かつ時代の流れを把握できる人じゃないと成功しませんよ。
原宿の「エセヴィンテージ」古着屋はせどりで儲ける
話は逸れますが、原宿で有名な古着屋のオーナーでさえ、わざわざ千葉にあるブランド古着屋へ足を運んで仕入れを行っています。
この事実を目の当たりにしたら、個人が洋服の転売で利益を出すことがどれだけ難しいかわかるでしょう?
都内で「ヴィンテージ」を謳いながらブランド古着を売っているお店なんて、ほぼ他店で買った洋服の転売なんですよ。
こうやって洋服が巡っていることに気付いたら、わざわざ原宿の「エセヴィンテージ」古着屋で服を買うのが馬鹿らしくなりますね。
そこではいい服が簡単に見つかるかもしれませんが、自身の目を鍛えればそんなものは地元の古着屋で安く手に入りますから。
せどりはビジネス感覚を身に付けるにはもってこい
少し熱くなってしまいましたが、結局ぼくは自分が嫌な思いをしないなら他には何も感じません。
わかりやすくネット上で仕入れ、ネット上で売っていたりしない限り、それが転売だという事実に気が付きませんからね。
好きなブランドの洋服以外なら、もっと言えば洋服以外のせどりに関してはちっとも関心がないんです。
はじめに「せどりをする人が嫌い」と書きましたが、それはごく一部の話。
むしろお金の勉強をしたいなら、ビジネス感覚と自らの手で稼ぐ力を身に付けたいのなら、せどりに挑戦することをおすすめします。
どうしてせどりがビジネス感覚を身に付けるのに最適なのか?
その理由を、ぼくの実体験と共にお伝えしていきます。
700円でお店に並んでいるコートを8,000円で売った
ぼくは古着を買うときに、最初から転売目的で服を手に入れようとお店へ足を運ぶことはありません。
今はアプリで誰でも簡単に服を売れるので、基本的に「着なかったらどこかに売ればいいや」精神で服を買っています。
買ってもあまり着なかった服や、着ても気分が上がらない服は売ることが多いです。
そうしてアプリを使った服の売買にも慣れた頃、ぼくはこれまで洋服を査定し鍛えた自分の目を、その実力を試してみたくなりました。
近所の古着屋へ足を運び、そのときばかりは「ここでの売値は安いけれど、ネットでは高く売れそう」な服を選んでみることに。
そうして全く知らない婦人服ブランドのコートをレジへ持っていきます。
お店での売値は700円。選んだ理由は良質な素材(カシミヤ100%)と流行りのシルエットが人気を集めそうだったから。
カシミヤ100%のコートが700円で売っている時点で驚きですが、婦人服ブランドは中古相場が低いので稀にあるんですよね。
レディースの服ではありますが、メンズが着ても違和感のないデザイン。これはすぐに売れるだろうと確信しました。
バイヤーの経験からその服の需要を予想。
手っ取り早く手放したかったので、「1週間以内に売り切れる適正価格」として8,000円で出品しました。
予想は的中し、ぼくはピッタリ1週間で仕入れ値700円のコートを8,000円で売却。
手数料などを差し引いた5,000円の利益を手にしたんです。
せどりでは「一定の期間内に売り切れる適正価格」を考えるべき
モノの定価はそれを売る企業が決めます。
製造原価を考えて、どれくらいの値段でそれを売れば利益が出るのか考えた上で決められるのが定価です。
一方で中古市場では、新品における「定価」のような絶対的な数字は存在しません。
それが新品だった頃の需要と供給におけるバランスや、過去に同じものが中古で売れたデータから算出された「中古相場」を参考に売値を決めるんですね。
中古相場の売値がある程度の指標にはなるものの、そこには当然ながら主観的な意見だって入り混じる。
「このブランドは自分が好きだから」と情を込めてやや高めの売値を設定するバイヤーさんはもちろんいます。
一方で「このブランドには詳しくない」と中古相場より低めの売値を設定するバイヤーさんだっているんです。
何より中古相場は過去のデータに過ぎないので、それにプラスして今の流行まで考慮しなければいけません。
ブランド自体の需要が低くても、チェスターコートが流行っていればそこに価値を見出して中古相場よりも高い売値を設定するし、その逆も然り。
一定の期間内に売り切れる適正価格を考慮するために、洋服なら季節性まで考えなければいけません。
ウールのコートは夏に売れないし、半袖Tシャツは冬に売れませんからね。
余談ですが、8,000円でコートを売った相手はせどりに慣れていそうな雰囲気だったのでしばらく様子を見ていました。
するとぼくから8,000円で買ったコートをすぐに同じサイトで出品していたんです。
設定した売値は19,000円。恐らく1ヶ月は待ってもいいと思っての強気な判断だったのでしょう。
そして1ヶ月後に少しだけ値下げした17,000円で他の相手にコートを売ることに成功していたんです。
最初はぼくが700円で買ったコート。
せどりを仕事にしている人はぼくよりもっと長いスパンで構えて、在庫を保管する場所を確保して、がっつり利益を出すんですね。
せどりに挑戦して自らの手で稼ぐ力を身に付けよう
ここまでせどりに挑戦した実体験を書いてきました。
この体験からぼくは、せどりでは売値を決めるために複数の要素を平行して考える必要があると感じたのです。
特に意識するべきは「いかに安く仕入れて、限られた期間の中でいかに高く売るか」ということ。
他にも、そのモノにおける需要と供給のバランスはどうなっているのか?
それが最も売れやすいタイミングはいつなのか?
などなど・・・細かい要素まで全て洗い出して、それらを平行して考える必要があるんです。
利益を多く出したいがために高い売値を設定したところで、それが中古相場とかけ離れていればいつまで経っても売れません。
まさにせどりは商売そのものの本質を突いた行為であり、ビジネス感覚を身に付けるにはもってこい。
こういった経験をしておけば経済の仕組みとお金の回り方を理解し、「自らの手で稼ぐ力」を鍛えることができるんですよね。
せどりって楽そうに見えてかなりハードなお金の稼ぎ方なので、実際は労力に対する収入が全く見合っていません。
生業にすることはおすすめしませんが、少しのお小遣いと稼ぐ力を身に付けるための勉強だと思って挑戦してみるといいでしょう。
メルカリで手数料を引かれるのが嫌な方は、BASEを使ってオリジナルのウェブショップを立ち上げてしまえばいいんです。
他にも手数料を引かれないフリマアプリは続々増えているので、気に入ったものを選んで使ってみてもいいですね。
いわはし
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