僕は某有名古着屋でバイヤーとして働いています。
入社当初から服は大好きでしたが、2年働いた今と以前ではファッションにおいてこだわる部分が全く変わっているんですよね。
服好きは全体よりも部分にこだわる
入社当初のいわゆる「にわか服好き」だった僕は服を組み合わせて作るコーディネートに自分なりのこだわりを持っていました。
「この服とこの服を組み合わせて、Iラインシルエットを基調としたコーディネートだ」とか、「ここに柄物を入れてハズしてみよう」だとか、そういった部分に。
けれど古着屋で働き始めて、たくさんのお洒落なお客さんやスタッフの方々と服について話している内に、あまりそういった部分にはこだわる必要がないと感じるようになりました。
なぜかというと、コーディネートには大前提となるルールは多少存在するものの、基本的には皆、自分が好きな服を好きなように着ているからです。
本当に服が好きな人ってコーディネートという全体よりも、服のディテールというごく一部に強いこだわりを持っている人が多いです。男ってそういうマニアックな部分が好きなんですよね。
極端な話、それらのディテールさえ見れば、街中ですれ違った人が着ている服をパッと見ただけでも「あの人はいい服を着てる」「あの人はそんなにいい服着てないな」といった判断が一瞬でできるようになります。これはもはや古着屋の職業病です。
という訳で、これまで何千着、何万着という数の古着を見てきた僕が「これさえ抑えておけば本当の服好きに近付ける」と思うワンランク上の豆知識を紹介します。
初回はファスナー編です。今回紹介するのは主に古着好きにはたまらないファスナーの代表的なメーカーたち。一言にファスナーと言ってもめちゃめちゃ奥が深いですからね!
TALON
言わずと知れたファスナー界の重鎮です。ファスナーの基本を1930年代には完成させた、全てのファスナーのもとになっていると言ってもいいくらい歴史の古いメーカーです。ジーンズ界で例えるとLevi’sのような立ち位置。
写真は僕が持っているTALONを使ったヴィンテージのスラックスです。
服における「ヴィンテージ」の定義こそ曖昧ですが、このスラックスは恐らく1970年代のアイテムです。
ファスナーの表面にはTALONと刻印されています。歴史が古いメーカーなだけあって様々な形のものが存在します。
SCOVILL
TALONに次いでヴィンテージウェアに使われているのをよく見ます。ジーンズのファスナーに使われていることも多いですが、何よりかっこいいのはミリタリーウェアに使われている大きなSCOVILL。
僕はSCOVILLの使われたヴィンテージウェアを持っていないので引用した画像です。このようにMA-1やG-1などに使われる大きなSCOVILLは武骨で迫力があって、めちゃめちゃかっこいい。
引用:http://tau20101010.blog76.fc2.com/blog-entry-834.html
こういったアイテムを着ている人を見ると「ああ、あの人は古着が好きなんだろうな」というのが伝わってきます。
WALDES
ファスナーの中でも一番古い製法を守り、今でも作り続けられています。メッキを施していないので他のメーカーのように輝かしい雰囲気ではありません。
しかしそれがまたいい!メッキを施していないので何とも自然な経年変化を楽しめ、それが絶妙なヴィンテージ感を出しているんです。僕はWALDESがめちゃめちゃ好きです。
写真は僕が持っている、1年半くらい前に発売されたMA-1に使われているWALDESです。1年ちょっとしか使っていないけれどこの雰囲気。ファスナーでここまで経年変化を楽しめるのはWALDESだけなんじゃないかな。とにかくたまらないです。
これからも経年変化が楽しみなファスナーです。武骨なデザインと経年変化を楽しめる。男のツボを完全に抑えています。
まとめ
今回紹介したのは服好きにはたまらない数あるディテールの中でも最もわかりやすいファスナーについてでした。この他にも有名なファスナーのメーカーはたくさん存在します。
服に興味のない人は「たかがファスナーにこだわったところで…」と思うかもしれません。でも本当にその通りで「たかがファスナー、されどファスナー」です。こういった部分にこだわりを見出すからこそファッションって面白い。
部分にこだわったところで全体としてお洒落なコーディネートを組めるようになるのかと言えばそれはまた別の話ですけどね。
服好きはこういった部分にすごくこだわりを持っていて、それによってファッションが更に楽しくなるんです。きっとわからない人には一生わからない世界の話。
本当にしょうもないことです!けどそれがまた楽しいからファッションってやめられないんですよね!
いわはし
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